come back to the physical world


最近、アナログブームが再燃してる。
アナログじゃないと聴く気がしない。
あの重量感というか、ここから音が出てるっていう視覚的なものが存在しないと
音楽を聴いてる気がしないんだな。


引っ越しの時、なんでこんなジャマなもの買ったんだろう。
と、ずっと段ボールの中に入れっぱなしだったのが、
去年にたまたまモールでアナログ専用の木箱を買ったところから始まったのか、
今度は無印で飾り棚を買い、ま、それでもそこまではただの装飾品として
満足するにとどまっていた。


で、この夏のサマーセールでベルセバやらK.C.accidentalの再発だとかを
これも最初は完全に装飾品として買ったんだけど、そこからアナログ熱に
火がついたみたいで、今では名盤を買い集める日々を送っている*1
スーパーカーのアナログボックスを売ってしまったことをちょっと後悔してる。


この前義妹が、「もうCDとか買う気しないんだよね」って話をしてて、
そうか、今の人たちは3000円も出してCDなんか買わないんだよなと。
着うたで十分なんだよなと。
レンタルしてiTunesに落として、それで十分なんだよなと。
そら軒並みショップが潰れたりコーナーが縮小されたりするよなと。
かくいう自分も音楽なんてほとんどiPhoneでしか聴いてなかったけど、
ここに来て完全に時代に逆行した音楽の聴き方をしてる。


昔、なにかのインタビューで向井が音楽はこれから二極分化が進むって
言ってたけど、フォーマットに関してもそうなんだろうなと。
今年自分内大ヒットの pains や yuck なんかは最初から7インチ切りまくってるし、
アルバム自体A面とB面を意識した曲構成になってる。


アナログはなくならないだろうな。
これが今アナログばっか聴いてて思う感想。
いや、これからむしろ増えてくんじゃないだろうか、とさえ思えてくる。
最近に発売されたアナログには必ずと言っていいほどMP3のダウンロードクーポンが
ついてくる。
これからは、家ではアナログを聴き、外出先ではそのダウンロードした音源を聴く
っていうスタイルが増えてくんじゃないだろうか。
って、自分がそうなるんだろうなってだけだけど。


CDの衰退は止められないだろうな。
もはやCD音源なんて必要とされてないんだろう。
着うたの音質で十分なんだから。


アナログの重要性ってのは、音楽聴くのに手間がかかるってことにあると思う。
簡単には聴けたり飛ばせたり、エディットできないっていうあの面倒くささに。
だからアルバム単位でじっくりと聴くことができるっていうか、聴く大義
できるっていうか。強制って言っちゃってもいいかも。現代ではね。
今まではiTunesに入れていなかった曲もじっくり聴くとまた違って聴こえるから不思議だ。


ジャケットからスリーブを出し、スリーブからレコードを出し、ターンテーブル
レコードを置いて、その上に針を落とす。
ターンテーブルの上で回るレコードを見つめながら、あのデカいジャケットを
見つめながら、その音楽のために過ごす時間。
アナログで音楽を聴くってそういうことなんだよね。聴覚だけじゃないんだ。


実体のないただのデータとして扱われる今の音楽。
聴きたい曲だけを聴きたい時に瞬時に買えて、聴けるっていう超便利な時代に
あえてその逆の聴き方をするのは、音楽を聴くためにかかる手間や、手に持ってわかる重量感や、
壮麗なジャケが、その音楽に付加価値を与えてくれるからに他ならないからなんだよな。
そう、正に come back to the physical world なんだよ。

*1:CD持ってるのに