silent poets / sun

SUN

SUN

silent poets 6年ぶりの新譜。
ココ1週間ぐらい、どこか煮え切らない思いを持ち続けて聴いていたのだけれど、
もうちょっと限界だ。ということで、痺れを切らして前作*1を引っ張り出して聴いてみた。



TO COME...

TO COME...


これだよ、これ!!


もうダブ度が全然違う。
横隔膜にズッシリとくるこの重圧感。
感情の波を揺さぶる、緩急をつけたストリングス。
極限まで研ぎ澄まされたサウンドと、必要最低限の数に絞り込まれた音数。
あるべきものだけが、あるべき場所に配置され、あるべき音を鳴らしている。
無駄を排除することによって生まれた音と音とのスキマ。
ギリギリのところで互いの均衡を保っているその絶妙な距離が、緊張と緩和を作り出す。
時には反発し合い、時には緩やかに溶け合い。
無限に広がる亜空間の中に散りばめられた音たちが
タクトを振られた瞬間に、一斉に振動を始める。
反響が反響を呼び、いつしか空間は呼応しあった振動で埋め尽くされてゆく。
こうして生まれた風景が作り出す、深い深い感情の渦が、
一篇の詩として刻まれ、言葉は音となり、瞬間は永遠となった。


前作は、深い深〜いゆったりとした時の流れの中で
人間が持つ、悲しみ、孤独、嫉妬、絶望、そして希望を、
心の奥に潜む光と影を描き出した、最高に素晴らしいアルバムだった。
6年経った今でも何ひとつ色褪せることはない。
それこそ下田の言うタイムレスな作品だった。


それ故のプレッシャーなりもあったのかもしれない。
前作と比べると、どうしても今作は見劣りしてしまう。
軽くなってしまう。
もっと深い、ディープなものが欲しかった。


しなっとしたスマートさ。
最終的に今作に持った感想がこれ。
音がスマートになり過ぎた。
ダブもストリングスも控え目。
あれ、そこまでで終わり?
もっと深くまできてほしいのに、そんなにサラッっと終わっちゃうの?
ってなことがたくさんあった。
打ち震えるような、感情を揺さぶってくれるようなものが欲しかった。


こんなことなら完全にソロ形態にしたほうがよかったのかなと。
下田が言ってるほど、感情がストレートに表れてないような・・・・。
4人体制にすることでフィルターが掛かってしまった気がする。
それとショーンとかいうオッサンをメインボーカリストに起用せいで、
なんだか没個性ぎみになってしまった感もある。*2
どうしても前作の個性豊かなボーカリストたちと比べてしまうから。


と、買ってから一週間経った感じはこんなもんかな。
自分的には、聴きこむごとに色が深まってきて、
最終的には好きなアルバムになればと思ってる。

*1:数年前にトイズとの契約が切れた時に、トイズ時代の作品を全て廃盤にされてしまったため、未だに過去の作品はほとんどが廃盤のまま。去年あたりに再発の話があったんだけど、あれはどうなっちゃったんだろうか・・・・・

*2:決してオッサンが悪いわけではないんだけどね